1)機能性における表現の質

「結論から言いますと、○○です」等という言い方がビジネスの対話でしばしば見受けられる。相手方に労を課さない工夫として取られる作法に成り、解り易く端的に物事や意思を伝達する共生感情を根にした行為の現れという解釈に及びます。

表現の多くは、述べるまでに行為の過程を経られ、そこから生まれる欲望を集約し、誰彼かに要望を見せる姿であり、それを受ける側がその要望について、対応するかどうかの判断を取るという映し方が実態と描かれ、この前提には、予めの主要な役割という共通認識が置かれてその枠が個別の対話に反映され組織や集団の活動が現れる。

関係の持続性から結論を端的に纏めて、そこのみで精度の高い対話を実現し、快適性の増進という感覚が生まれる。この構造を多くの人は実感され、良質な人との関係形成手法として行動原理に意識的か無意識に備えられる。

何がしかの知的体系を形成するにも、この論理が適用され、個別の積み重ねを抽象集約して重要ポイントを前面に取り上げ、そこののみで、大凡過程や枝葉の推察に及ぶ事が想定されて、最小限の表現で済む事であれば最も快適性が生まれ、必要に応じて詳細を述べ納得性の取れる所で対話を終えられ、判断に及んで次のステージの行為や対話が進行する。これが前進という概念の中身になり、過程と欲望の集約→納得性→判断→次なるステージ、といった過程で浮かび上がる。

本書の構成も、冒頭部分に過程からの集約を取るという形式を用いております。そこのみで同一的な理解に及ぶ場合も想定され、必要に応じて詳細を見るのが良好なコミュニケージョンの運びで在り、このような対話の構えに人間形成の基礎的な対峙の姿が映し上げられる。

込み入った知的体系を表現するにも、同種の作法を意識されるのが平等思想に基づく行為の現れと思います。文量の多い事が付加価値のポイントに成らず、如何に良質な集約を作り全体表現を少ない分量で示すかに、表現形式上の付加価値が生まれる。このような実質的な付加価値の正しい捉え方の認識が高まり、良質な能力の測定に繋がり適正な対価の産出に及ぶ事と思います。断片的な知の量ばかりが記載され、知と知の有機性が弱く、見る側に労を与えるようなものに価値はなく、積み重ねと集約の過程を繰り返す中で次第に集約の質が上昇して体系の壺を示す事に及んで、そこに付加価値が現れる。

このような姿が倫理道徳という観念の二次三次的な応用として生まれる要所になり、この意味からも根源には倫理道徳心が人々の性質の土台を形成しこの程度が各種創造行為の質に反映される。財力や権力、名声に縋った肥満体質から怠け癖が慢性化し、粗雑な表現や可笑しな発想や価値観で正当化される事や、それに留まらず安易な盗みに及ぶ事に対しては、道を誤った秩序が増進される事からも、本書の文化論の根源焦点が物事の本質や真価を見極める重要点に成り得ると思います。以上は、機能の向上性という面を焦点にした表現の質を指し示し、情緒的な志向等、様々な意図によって相応しい在り方が生まれる事でしょう。

今日的には、「おもてなし」等という言葉で、日本文化を表現されるようでありますが、上述のような発想や姿勢、態度を指し示す事に思われます。この質が物的依存から脆弱化し各種の不快事情と現れ、人間の自制力や観察力、感受性の衰退に及ぶ事には警鐘が鳴らされます。