健全性思想
需給が成立している事には、直接の当事者にない人がその技術と需要にケチを付ける筋合いにないのが基本的な平等思想の示し方と思われます。しかし間接的因果という面から、効用や影響が少なからず回る実感を抱く事も自然であり、まったく無関係にはなく、直接の需給関係に無くとも利害の交わる立場として何がしかの主張を投じられる事に一定の理解が加えられる。
作りだす物事も多種多様であり、感覚的な質感を提供する事から、観念的な情緒面の創造性の事まで作り手と受け手との間で良いと思う事柄を自由な合意によって需給が取られる。この直接的焦点に、社会システムなる観念体系を設け、マクロ的大局からの全体観を想定して、広く大きな事象を掴みだしたいという欲求も現れる。局所的欲求に対して間接性の因果の広がりを想定し、多彩な因果の実感を浮かべながら、分母感を形成して分子を把握し、長い周期性を勘案しながら短期周期を配して、先々を見越した現在の姿を掴みたいとする制御性への欲望が生まれ、大局を映す観念的フレームを設けて、実際事象を適用させ、実感を掴むという方法が取られる。あるいはこの観念フレームが、各種生産への性格づけに至り、人間の変容しづらい欲望という視点を持って、価値の序列を考え、優先的な事を捉えて、周辺との相関を把握し、人間自体の性格を自ら創り上げるという制御性が生まれる。
思想の型枠も各種各様で在り、各人が抱かれる実感の多彩性を下に、何れに重心を置くも一定の下限的制約の範囲で有れば自由であり、そうした中で思想的ビジョンに軸足を取って生産の主領域を展開される人々も現れる。社会ビジョンや映画や文庫、文芸等々、ソフト的な観念表現を主にして提供される。思想的ソフトがアウトプットと成り、生産行為と成立する。ここから、感覚的な質感を作りだされる生産者が影響を受け何がしの良質性へのヒントに及べば協業的な生産の連なりと浮かべられ、各人の個性がそれぞれに活かされ正の増進と解される。其々に意義があり尊重されるべき分業構造に在るという認識が生まれる。
社会学研究の著名な学者で自由主義、社会主義、共産主義という史観を唱えたマルクス思想に影響を強く受けられた人々も少なくないように見受けられます。これはこれで社会事象を掴みだす優位な見方の一つにも思えます。こうした知見を取り入れながら、より良い創造画を作り上げたいというのが、思想形成者の生産性と成り、良好な社会形成という動機から多様な型枠が提示される。
本書の特徴は、感覚と観念と感受性という身体と頭脳と心の有機的な連なりを持つ規則性を人間の基本的な動態と浮かべ、ここに健全な精神と肉体を備える人間があるという考えに立脚した思想となり、物性と理性に人間の基本的な性格を見出し、両者の良好な関係を作るのに3要素の適当な型枠が基準とされる。
これをベース観念として、その発展的応用にマクロ的な社会ビジョンを作り上げ、多くの人々の関与と協業の適正化への方法が示されます。自由主義や社会主義、共産主義という思想への批判的な感覚は、人間の根っこと成るベース観念の脆弱性の上に各種思想が断片的に並べられたという感が生まれ、いずれの立場も、人間の根本的なベース観念から見るとバランスが悪い偏った構成であり、ベース観念からみて適正な思想体系を導出する所に、本書の特徴が現れ、「健全性」という概念が強調されます。物性と理性の良好性、欲望と力と責任の均衡という姿に、健康な人間性が作られるという発想を備え、自己と他者、個人と社会の適正な関係を作り上げる原理と描き出されます。一定の万人共通の基盤的な観念と備わり厚みのある共通感性が形成されて自由の快適な創造性に及ぶという想定に立ち作られる思想と考えます。以上のように、直接間接の因果の実感、生産事物の多彩性、生産事物間の因果の実感、思想形成とその性格、本書の思想における特徴的な側面について説明しました。
生存本能から優位性を保ちたいという発想が過度に進んで他者の生産性への尊重心の弱い感性は自己の確たる生産の弱い立場による劣った人間の性質と見られます。自己の生産ばかりに執着する偏狭な性質や、物性従属的な感覚による思い上がった人間性の劣化から、各種の迷惑な悪性事象が発生し違和感や実害が生じる事には少なからず対処が要り健全な人間性の下落を防ぐ行為が必要になる。紳士な姿勢で違いへの寛容性や尊重心を抱きながらも、自己の良いと思う創造を堂々と作り上げ、広く多くの人へ提案する活動として、『日本文化原論』が作られました。お楽しみ頂けると幸いです。