人間の定番

生産からの学びには、一定の共通的な抽象原理が浮かび上がる。例えば、縁起物の製作では先人という作り手がおり、直接的な製作や道具の使い方、材料の入手先との関係、運搬方法、販売実績の算定等が主要なポイントに上げられる。これに関わる労使関係、生産者や販売者、祭りの開催関係者との付き合いが生まれ何世代にも渡る長い歴史が形成される。代の引き継ぎ等の変わり目に良からぬ発想を持って歴史を自己の有利な秩序へと塗り替える等の歪んだ作為を取る人々も現れる。好意的な発想と共に悪意を持つ主体があり、自己が行うように他者からの態度が返り因果応報の原理が作用する。こうした生産活動の主要なポイントを多くの人々が感覚的に経験し、他領域への推察や類推を持って直接の関わりにない生産対象の理解や予測が図られる。各場面での発言内容に現れる部分とその背景等を予測する感性が育ち、同一事象の見え方にも見る側の経験等から見え方の奥行きや幅が作られ、一から十を窺い知る嗅覚となり個人差が現れる。実体験での生きた経験からの学びは、発想や思考に深く刻み込まれ創造の方式に入り物事を作る原理と作用する。こうした過程で次第に纏まりある原理体系等へと及んで、感覚的な経験の積み重ねと抽象集約される概念が作られ、規範や原理、思想等という纏まりある考え方が形成される。一次体験をベースに生きた観念の集積が生まれ、他者を浮かべる型式に反映される。その仮説と実際の検証で実質を掴みあげる事になり、仮説の形成に多種多様な体験が作用して思い浮かべる発想力へ連なり、その構えを持って事象と接する手順が現れる。工程の省略や物性への過度な従属的な活用に慣れた生産からは、多変数の想定が及ばず粗雑な態度が明瞭に浮かび上がり、物事の進行の円滑性に影響する。書籍等の単純化した図式の入力と実体験からの皮膚感覚の多変数とを持って、協働生産工程でこれらの知の実践が図られる。こうした中で体質の異同等を感じ取り、共通性と個別性の実測が取られ新たな学びと吸収される。自然観や人間観、倫理道徳観という抽象概念と、実際の個別場面での発想や行為との比較に及び実際上の感性を伺い知り、言行の整合や感度の精緻な認識を経て対象の実感が作られる。実務者の工程と観測や評価という工程の質の相違や、分業化される作業の程度等から全体観の描き方の幅に相違が生まれ、未来を予測する事柄も変わり、現況に対する感度や方法の相違と現れる。他利を作り自利を得る常態的な発想が対象への探究力へと現れ、外界を良く伺いそこに適する方法の考案へと示され、他利を叶えて自己の生存や繁栄へ繋げる実践力と現れる。利己性の強い一方向的なエネルギーからは探求性の相違が生まれ、外界への納得性の高い原理の創造に及ばず、物性的な原理で力任せに用いる方法が投じられ、軋轢や対立的な感情を深める粗雑な進行を齎せる。真なる共感に届く協働関係と、物性での強要的な作法という対極が現れ、良好なエネルギーの集約差等と成って、成果事物の程度に反映される。こうした過程から体質という性格が浮かび上がり、各種領域での常態的な基準と備わり物事の判断基準や行動原理の内実が作られる。あまりに感覚差が開くと交流は断絶し程良い対象を探して快適性へ及ばせる事になり、しかしながら間接的な影響が大きくなるほどに無関係ではいられず、何がしかの変化へ力を投じて一定の下地を整える作為が生まれる。こうして根源的な基盤面の同一性への欲求や生産へ連なり抽象原理の同一性への試みが図られる。文化基盤の形成が各種領域における原理の格差を縮小し、あまり感覚の開かない皮膚感と適用に及んで汎用的な同質性による効用に至り長期性の利益が増進される。このような観点や意図に絞って良質化への力を投じる活動に一定の意義が生まれる事に思われます。短期性や中期という質感の事と同時に、長期性の観点が備わって適当な安定と成長の軌道を崩さない力が働き、歪な成長や衰退の構造を深める事無く、根源的な価値を抑えた長期に渡る成長の道筋が描き出される。適当な提供とお返しの感覚的同一性が創り出されて快適なエネルギーの停滞が予防され、好意的な発想に陰りを落とさない善意型の人間性が増進され、猜疑心の深まりや過敏な利益を求めた対立性の不信が調整される。肥満化するほどに基礎的躾を外し、悪性の態度が慢性化して各種不快事象を作られる。自然浄化の反応を弱める事無く欲望と力と責任の均衡を目途にした健全な主体が堅持され、歪性への適正対処を留まる事無く回されて、長期的な利益の確保に必須の原理と作用する。科学技術への依存が深まる生活習慣に在る程に人間側の制御力が試され、アンバランスな感性によると根源価値の下落を招き長期の利益を喪失させる。以上のような周期性への実感や未来ビジョンを望まれる人々がおられれば、文化政策に力が加えられる事と思います。いわば人間の定番を指し、これを持続させる活動に文化というエネルギーが発生する。

酉の市と飾り熊手

商品の販売には、定番と変形と季節物といった3つ程度の製品カテゴリーを設けて、定番を柱に変形で緊張や緩和というメリハリを効かせ、定番の要素分けに季節限定性に特化させた製品という特徴をちりばめて、顧客とのマンネリ等を回避して持続的な関係に及ばせる工夫が設けられる。一定の歴史を持ち成功や失敗を積み重ねて考え方に定見が生まれた生産者の段階に達して作られる持続的安定化策と示される。

定番という型式を作りだすまでには幾多の試練を重ね、ようやく自他との落ち着きある快適を見出し生まれた製品と成り主軸に置かれる。定番については値崩れも起こさないように、いつも同じである事が安心を齎し、決まった時に入手して当たり前のように皮膚感と浸透する事がいわば文化と表される。これを守る工夫が目新しい変形物であり、煌びやかな装いで目を引き定番を引き立たせる役割に用いられる。定番をより深く理解するのに、定番内の要素を細分化して専門性を深めた季節物が作られる。こうした原理が根本的な面から見る人間の性格とも伺え様々な生産に共通的に浮かべられる規則性とも見受けられる。定番と変形と季節物という構成で全体を表し適正な感性の持続へと工夫が図られる。経済社会事象を表すにも、衣食住とそれにまつわる生産要素が生活の柱に成り、家電や自動車が追随し、金融広告、情報サービス業が補完的な配置に取られ、中期的な価値の共通性を政治行政分野が担われ大きな基盤と構えられる。更に長期的な感性の養成に教育文化が配され、人間の根本的性質への重心を間違える事無く持続させる作用を持つ。人間の生産的規則性という面からは、身体と頭脳と感受性の適度な循環が定番を指し、これを標準にする人々に於いて健全な感覚が現れ、分業した生産との比較をとり異質さへの認識と許容性の幅を制御し、全体調和の作為に於いて構造と動態の適正を図る事が求められ教育文化の中心的な課題に置かれる。一過性の強い経済産業という性格の事象と繰り返し使われる磨き抜かれた定番品等とを区分し適正な距離を持って健全な感性が示される。情報産業や金融産業というどちらかというとスタッフ的作用が主流になる構成に在っては、健全性とは少々離れ体を土台にとって質実の高い側面を軸に定めた配置により大きく人間の性質を狂わさない感性が持続する。歴史のスパンを広く取って大きな周期性を想定した型枠を描き人間の本質を浮かび上がらせ、短期周期の変動へ適度な制御を果たす事に於いて、根本や軸足の健全性を備えた人間性が持続する。例えば野球では特殊な相手の攻略にリリーフ投手が用いられる。先発完投型の投手との違いを適度に掴み全体のストーリーを描き出す嗅覚を狂わせる事無く、過度に踊らない制御性を備えた感性に文化の素養が浮かび上がる。中心と主軸を間違える事なくこの感性の同質性が根源的価値を指しこれが近い所に文化が生まれる。

飾り熊手を作りながら思い浮かんだ全体像であり、江戸時代から続く酉の市という慣習と縁起物から感じた一つの規則性を指し私なりの文化観と形成されました。今日、定番が崩れつつあり変わり者を選ぶ感性の進行に懸念が現れ、何を重んじるか、根源的な面から価値を考える時期に映ります。おかまにマイクを持たせるようでは先行きに希望が見られない。