1)哲学や思想について

個々の経験から快不快の感受性を抱き、問題の特定と改善への思索を繰り返す中で、次第に焦点が絞り込まれて領域という立ち位置が創り出される。この過程から領域の体系が描きだされ、現況をそこに乗せギャップを示し、そして方法を提示して体系への実感に及ばせる事が活動の主要な道筋に思われます。

あれもこれも視点が飛んで中途半端な批評は却って質を落とし、どこかに絞り込んで欲望と充足の構造を取り有用な型枠の形成と観測と評価と改善手法を考案し実施と検証のサイクルを回す中で多彩な実際的な発見が積み重ねられる。それを抽象集約して方法論自体や価値観自体への向上という哲学的な考察の周期が生まれ主体性が作られると共に合理的な方法論の多彩なパターンを持って各種の想定に的確な改善案を講じ効用を達成させる技能が創り上げられる。哲学自体を領域に取り根本的な価値の創造というスタンスを持つのが本書の文化論の範疇で在り領域の分化を取る以前の根源性や志向性への確かな提起という課題を持って普遍的な原理体系の思索を深め根源的な共通観念を形成する事への挑戦が繰り広げられます。この面が専門領域の技術の用い方へ納得性の高まる価値観を提供し専門哲学という基軸に及んで領域の作り方への軌道を形成し確かな理念と技術の相関を備えた生産性が果たされる。抽象原理を哲学や思想等という言い方で示され個別具体的な課題の抽出や対峙の構えを作り健全な精神の下に感覚的質感を投じる活動が想定されます。政治や経済、産業や自然科学など、これらの細分化が見受けられ欲望と充足の構造を持って人間の欲望自体を含んで定期的な改善を果たしながら次第に固まる人間像が思想と言えるように思います。特定分野と持続的規則性の経過から所々で集約的な感性を作り個別体験に反映して更に集約の作業を意識的か無意識のうちに執り行い生産者の骨格のような気質が創り出される。それを絵に表すか、どんな表現の仕方を用いるかは様々であり様式には多彩性が生まれる。こうした点からも多くの人に哲学が実在し作り方や表し方には一様ではない。当方は神道や仏教を根にした縁起物制作と販売という活動を主にして人々との対話を繰り返し次第に形成された思想を『日本文化原論』と題して纏めました。個別具体的な活動自体に伝統慣習や思想の性格が内在し一般の生産活動とは少々異質の哲学自体への探究と形成を主要な焦点に作られた体系となります。特に普遍性という根源的な原理の形成に意識が注がれ万人的な汎用性に及ぶ可能性を持つ型枠を示す事によって個別哲学とは異なり一種の専門的知見という自伝の範疇を超えた万人的根源性への問いと解答の産物であると考えます。各人の物性的な力が増進されて短期性の感度で支配的に陥る今日的な傾向に、健康な精神の変わらない性質を備えて極端な要望や異常な行為に自制がかけられ相互尊重の構えを持ち破滅的な衝突を回避する持続的な循環の系を描いた調和の叡智が現れる。こうした志向性や欲望を抱く所に根を共にする同一の人間性が生まれる。自主内発の歯止めの掛からない脆弱な精神の破綻した事態に警鐘が鳴らされる。時短的な感度の進行は体を通して創り上げる観念による感覚の適正な制御作用を弱め精神面の痩せ細った性質を深められ自己本位の物理性を加速して根の貧弱な機械性を促進する。こうした面から思想の意義が訴求されアナログ的な良質性の弱いデジタルの活用や本ばかりの知識の形成は本筋の軌道を外した人間形成となり体と頭と心の循環を持つ有機体に正しい感性が宿る。