人間力の上昇

歴史の記述は、「いつ、どこで、誰が、なにを、どのようにした、誰に対して」とその結果の評価が取り上げられる。評価尺度には、短期、中期、長期という観点から人々の幸福感を向上させた事が示される。

この尺度の導出に理想と描かれる抽象的人間像が備わり、人間像の概念を「力の概念、主体性の概念、生命観、自然観」等々と要素分けしてここに見る適正な在り方を思い浮かべ内実が見えてくる。誰が偉かったといった記述とその集合を取り、共通の属性を抽出して原理が構成されその原理を受け継いで文化が持続する。

或いは身近な周辺の人々から映る模範的な人物が現れそれを習い自己に吸収して人間形成する実践的な方法が生まれる。そして多様な観点を学ぶ意味からも書物等の記述を読み込み身近な模範像に多様な観点を取り入れ人間像のグレードアップ等が行われ自己の人格へと練り込まれる両用的なアプローチで自己実現への探究が進行する。

この意味から言うと前者のアプローチが本書の文化論の性格に成り人間像の探究と提起を示すものに成ります。こうした事を消極的な受動性で構えるか、積極的に吸収するスタンスに立つかで、押し付けという感覚になるかどうかの線引きが生まれる。根本概念の内実はあまり異なる感覚を抱く事無く普遍的な人間の基本属性と揃えられても指し障りは少ないように思われます。いろいろな感じられ方を否定するものではありませんが、この延長に平等思想や民主主義、自由主義等の価値が現れ、概ね人々の共通常識の実感に及ぶと考えます。

特に本書で強調される概念が心身の健康という在り方を示し、今日的な弊害と浮かぶ頭脳に偏した歪な感受性への予防の視点が加えられ物理依存の発想や体質への修復策が提起されます。これが犯罪への予防や創造の健全性に連なる重要ポイントと感じられこの実感の取り方にも様々な異同が現れる事でしょう。

こうした理想概念の形成に留まらず現実の世界を踏まえて適正な方法を導出するフレームを含め実用的な形で全体が構成されます。この概念を「永続性への道」として示し理想概念へ偏らず現況に照らした方法を考え実態的な応用として生きた人間の調和形成に及び有用な学問体系が作られる。理想ばかりに偏らず実践的な力を養いしなやかで粘り強い人間形成が想定され生きた道徳が生まれる。

雲の上の世界で終始する事無く、物性での強要的な解決という短絡的方式では信用は築かれず、机上的な管理発想へ偏した権力や物理性に縋る未熟な制御によって調和を崩される。人間平等のフラットな感受性を根に畏敬の念を抱き、そこから湧きあがる気持ちに従い真摯な対峙による公明正大な原理創造の志向にあって無限の知恵が導出されここに真の評価点が与えられる。

ちいちゃく纏まる事無く多彩でユニークなアイデアを含んで人間像を描き健全な豊かさが生まれ、腹踊りの一つも見せられて一人枚に思われます。こうして理想と現況と方法や過去現在未来や主体と客体、人間と自然、頭と体と感受性というような細分化させた概念が次第に融和した一体と拡大の実感に及び、動を動で感じて動を生む調和と響き、世界の分断が統合され同質感情を根にする大きな有機体が生み出される。