欲望と方法、価値と事実という二項対置概念が人間の根幹的中枢の要素となり、この在り方があらゆる問題における根本の焦点になり、その良質性を向上させるのが本書の文化論における主題に備えられます。
欲望や価値は、個別的内面の事であり、人が強要するようなものではないといった尤もらしい言い方も一理ありますが、実際上は、ここに確かな観念を入力する事によって、人間社会の基礎が創り上げられる。自信を持って示しきれない自己の歩みに後ろめたさが多い大人の逃げた言い訳とも取られかねず、少なくとも「こうだ」という型式を表す事が責任ある人間の行いに思います。
過去の歴史の積み重ねから大小の成功や失敗を重ね、その教訓を活かす事や、それを反映する中で未来創造型の秩序を切り開く為の土台のしっかりした基礎力が良質な応用を生み、一過性の創造に終わらない中長期の規則性へと昇華させる動源と成り得る。
こうした趣旨の下に、創り上げられた観念体系が『日本文化原論Ⅱ』であり、価値の良質性と共に、それを叶える基本動作の型式を提起し、自己実現に向けた背骨を固めるプログラムとして纏められました。これを広く訴求して、実践の中に取り入れられる事が確かな創造に及び、感覚と観念の循環の中で知肉化された基本反応と組みこまれて人間の根源的な感受性が創り上げられる。
専門分化した今日の感性には、どこか基軸となる柱の脆弱感が各所に現れ、部分性の利益に偏した全体観を描き出され、根本的な価値の弱まった発想や行為と映し出される事も少なくなく、こうした事からも良質な根本の再構築という視点を持って健全な全体観が描きだされ、部分の性格への適正が現れ、健康な心身の状態を定常化する動態が作られる。以上を集約すると、1)健全な発想や欲望の在り方、2)基礎的動作の充実、という2つの観点により構成される思想体系に成ります。