メーカーにおける物づくりの感性をベースに於いた創造観念を形成する事に、感覚と観念の離れない健全な感受性を持つ人間が生まれる。顧客の要望と供給側の生産能力とを計り、両者の需給を刷り合わせて製品とコストが設計され、「何を、いつまで、いくらで」という約束が生まれる。それを満たさなかった場合の損失への対処策までも含めて、内容が取りきめられる。
製品の構成は、素材からそれを加工した精製品、更に部品、高度な技術を持つ部品、部品の組み立て、といった加工度や特殊性能、点数の多少で示される。複雑な要素の構成で完成品とする場合には、いくつもの部品について、「何を、いつまでに、いくらで」という仕様書が複数出来上がり、部品を入手するタイミングも事前に計画されて、同時並行の全体工程として把握される。一つの部品の納期が遅れると他の作業が滞り全体の計画に影響して、最終完成品の納期が満たされずに約束を破る結果を生む。
このような生産感覚を無形の知的創出にも反映される事で、無形財の質や精度への感覚が生み出され、事実や価値、方法といった概念の厳密な規定に及び、責任意識の高い物事が生み出される。いくつもの工程からなる協働生産感覚の弱い、虫食いい的、場当たり的、無責任的な創造は、有形の生産事物の生産工程体験をベースの感覚として保有する程に予防され大きな図面とその実現工程の確かな運びへの意識が高まり協働生産性の感覚が内蔵される。一つの工程の停滞が全体へと波及し大きな損害を齎せる。システムと各所の工程と人の活動により、完成品を創り上げる協働作業の体験を経て無形品の創造へも良質な感覚が備えられる。生産の基本は、有形物を創り上げるメーカーでの生産工程に在り、ここを基礎にした創造活動である事が健全な感受性を作るのに適当に思います。断片性、静態認識、価値観の押しつけ、過剰な対象化、思い上がった犯罪への鈍感性等々の不快事象はこの感覚の弱さから生まれ、責任感覚の弱い、約束の鮮明でない、恣意的な行為が生み出され、粗雑な人間が生み出される。社会像や人間像という言わば大きなシステムの形成感覚は、物づくりの協働生産の感性を基礎にして、一つの工程の過失が他への損失を齎すという共生感情を作り、各人の責任感覚や工程へのプライドが培われる。個人化の進行やサービス経済化という事象の進行から、協働生産感覚が薄まり創り上げる物事や観念の空疎化や粗雑化を生み不快感が生み出される。言ったもの勝ち、言っただけ、一過性、表層的、外観的、内外の乖離、物性依存症等々の内実の弱まりや実際性の形骸化が進行する傾向には、犯罪感覚が弱まり程度の悪い世界観が作られる。